若狭の港に揚がった海の幸は、幾世紀にもわたり、人の足で山を越えて京へと運ばれてきました。港で塩を振られた鯖は、一昼夜ほどで都に着き、そのころにはちょうど良い塩加減になっていたと言われます。この道は、いつしか鯖街道と呼ばれるようになりました。
熊川宿は、その道の宿場町です。1589年、若狭の領主・浅野長政によって整備され、やがて商人・旅籠・問屋が軒を連ね、海と京を行き交う物資を扱う町として栄えました。最盛期には、約一キロメートルの一本道沿いに二百戸ほどが並んでいたと伝えられます。その通りが、今も残っています。木造の商家が街道沿いに建ち、四百年前と変わらぬ姿で前川と呼ばれる石組みの水路が町を貫いて流れ続けています。熊川宿は重要伝統的建造物群保存地区に選定され、かつて朝廷に食を献じた国、若狭を語る日本遺産の一部となっています。
静かな町です。しかし、それこそがこの町の姿でしょう。また、この場所でお店をしたいという若い世代も集まり、変化が訪れています。端から端まで、水の音を聞きながらゆっくりと歩きながら、熊川宿の魅力を見つけてみてください。


熊川宿は、小浜と琵琶湖のあいだの山あいに位置し、福井市よりも京都に近い場所にあります。
車の場合、舞鶴若狭自動車道の若狭上中インターチェンジから約15分、小浜市街からは約25分です。関西方面からお越しの場合、小浜への往路または復路に自然に組み込める立地です。
車をお使いにならない場合は、JR小浜線で上中駅まで行き、そこから数キロを路線バスまたはタクシーで進みます。バスの便は少ないため、出発前に帰りの時刻をご確認ください。
町なかを歩くだけであれば、一時間ほどです。小浜の寺院や国宝とあわせれば、ゆとりのある一日の行程になります。
